「日本の家」展から

東京竹橋の近代美術館で「日本の家」展が開かれている。7月19日〜10月29日

「日本の家 1945年以降の建築と暮らし」と題したこの展覧会はローマ、ロンドンを巡回して日本に来たものらしい。

建築家56組、75件の住宅建築を、模型、写真、動画などによって紹介している。

13のテーマに分類し、展示してあるが、この分類はあまり意味がないので、ここでは分類を無視して、気になるものを任意に抽出して掲げておく。

なにしろ、戦後70年にも及ぶ期間の膨大な住宅から、丹下健三から、石山修武、さらに、34歳の大西麻貴まで、いったいどんな基準で選ばれたのかわからないが、ともかく、一気にこれだけ沢山の建築が見られるのが興味深い。

はじめは、丹下、池辺、吉阪、など老大家、次に、伊東、石山、相田など野武士たちの一群、そして、メインは藤本壮介、長谷川豪ら、40代の建築家たちである。

なぜか、50代、60代の影が薄い。

巨匠のコーナーが終わると、撮影可能区画は篠原一男の「白の家」からはじまる。

 

つぎの、野武士世代つまり70歳代の建築家たち、伊東豊雄、石山修武、相田武文、毛綱毅らもすでによく知られたものばかりである。

興味深いのは、40歳から50歳くらいの建築家たちだ。

ここに紹介するのは、この40歳代の建築家たちである。

それは、単に私にとって、新鮮で、記憶しておきたい建築家たちだからにすぎない。うっかり若い建築家と書きそうになったが、すでに40代、中堅の作家たちなのである。

写真、動画もあるのだが、ここには、模型のみ紹介しよう。

藤本壮介(1971〜) Hous N(2008)

五十嵐淳(1970〜) 光の矩形(1907)

柄沢祐輔(1976〜) s-hous

乾久美子建築設計事務所+東京藝術大学乾久美子研究室+市川竜吾 

ハウスM(2015)

会場にはいくつかのインタビューが動画で流されていたが、この住宅の施主インタビューは興味深かった。住宅らしくない即物的な建築を求めた施主の意向が反映しているようだ。

アトリエ・ワン 塚本由晴(1964〜)

ポニー・ガーデン(2008)

アトリエ・ワンの英語がAtelier Bow-Wow、中国語が「犬吠工作室」となっているのには驚かされた。

この人、相当ユーモアのセンスの豊かな人なのかもしれない。

手塚建築研究所 手塚貴晴(1964〜)

屋根の家(2001)

西川司+中川エリカ 西川司(1976〜) 中川エリカ(1983〜)

ヨコハマアパートメント(2009)

静物建築舎 藤野高志(1975〜)

天神山のアトリエ(2011)

アトリエ・ワン 手塚由晴(1965〜) 貝島桃代(1969〜)

ハウス&アトリエ・ワン(1905)

西沢立衛(1966〜) 

Garden & Haus(2013)

島田陽(1972〜) 六甲の住宅(2011)

長谷川豪(1977〜) 経堂の住宅(2011)

大西麻貴+百田有希 大西麻貴(1083〜) 百田有希(1982〜)

二重螺旋の家(2011)

中山秀之(1972〜) O邸(2009)

藤本壮介(1971〜) T House(2005)

アトリエ・ワン 塚田由晴(1965〜) 貝島桃代(1969〜)

スプリットまちや(2010)

藤本壮介(1971〜) House NA(2011)

宮本佳明(1961〜) 「ゼンカイ」ハウス(1997〜)

清家清設計の「斉藤助教授の家」(1952)の原寸大模型

 

チーフアドバイザーを塚本由晴(東京工業大学大学院教授)が勤めたためか、全体に東京工業大学が展示の中心になっている。そこには戦後の住宅を牽引してきたのは東工大だという自負が感じられる。

もちろん、これは、あまり公平ではないが、東工大には、清家清、篠原一男、坂本一成と一本の筋が通っており、さらに若い建築家を次々に送り出している。これだけ、明確なストリームを形成した大学は他にないので、まあ、仕方ないか。

全体として見ると、住宅の既存の観念を覆す、問題提起型の住宅が選ばれているような気もする。ならば、テーマの「1945年以降の建築と暮らし」という総合的な穏やかな看板は外し、「住宅の冒険」とか「実験的住宅」といった挑戦的なテーマを示す看板に架け替えたほうがよい。

それにしても、宮脇檀など重要な建築家が抜けているのに、アトリエ・ワンや藤本壮介などが繰り返し登場する理由はよくわからない。

おまけ、プチプチを使ったワークショップ。子供たちが組み立てたり、入ったり。

案内する人

 

宮武先生

(江武大学建築学科の教授、建築史専攻)

 「私が近代建築の筋道を解説します。」

 

東郷さん

(建築家、宮武先生と同級生。)

「私が建築家たちの本音を教えましょう。」

 

恵美ちゃん

(江武大学の文学部の学生。)

「私が日頃抱いている疑問を建築の専門家にぶつけて近代建築の真相に迫ります。」

 

■写真使用可。ただし出典「近代建築の楽しみ」明記のこと。

 

ブログ目録