2016年

1月

13日

フランク・ゲーリー展を見る

21/21デザインサイト 設計:安藤忠雄
21/21デザインサイト 設計:安藤忠雄

フランク・ゲーリー展の会場、六本木21・21デザインサイトだ。

よい建築を生み出す秘訣はアイデアだ、とゲーリーは主張する。

フランク・ゲーリー、1929年生まれ、現在86歳、2月で87歳になる。現役の建築家だ。

ルイ・ヴィトン財団 2014 パリ
ルイ・ヴィトン財団 2014 パリ

会場入口でまず目を奪われるのは、ルイ・ヴィトン財団の模型だ。

モダニズムの建築家がしがみついてきた水平、垂直、直角、平面がここにはまるで見当たらない。

ビルバオのグッゲンハイム美術館(1997)が、衰退した港街をあっというまに観光地に生まれ変わらせたのは記憶にあたらしい。

グッゲンハイム美術館までは、ポストモダンのスターの一人として、消え去ろうとしていたような存在だった。しかし、あれからゲーリーの評価は一変した。

マニフェスト

まずアイディアが浮かぶ。ばかげているけど気に入る。模型をつくって嫌いになるまで見続けて、それから違う模型をつくることで、最初のばかげているアイディアを別の見方でみる。するとまた気に入る。でもその気持ちは続かない。部分的に大嫌いになって、再び違う模型をつくってみると、全然違うけど気に入る。眺めているうちに、すぐに嫌いになる。直しているうちに新らしいアイディアが浮かんで、そっちの方が気に入るけど、また嫌いになる。でもまんざらでもない。どうするか?そう、また模型をつくって、次から次へとつくる。模型を保管するだけでも膨大な費用がかかる。でもどんどん続ける。次から次へと進めるうちに、ほら見ろ、最高傑作だ。輝かしく、安上がりで、今までに見たことがないものだ。だから誰も気に入らない。(以下略)

フランク・ゲーリー自邸(1978)
フランク・ゲーリー自邸(1978)

普通の建て売り住宅をちょっと改造した程度だ。しかし、これがゲーリー建築の出発点だった。

いろんな素材で模型をつくる。

素材を変えてつくってみる。

モダニズムの約束事にまるで縛られていない。

どんどんつくる。

まだ、構造も設備もまるで考えていない。

まだまだつくる。

あらゆる素材が現れる。まるで子どもの遊びのようだ。

少しリアルな材料でつくってみる。

いままでのあらゆる建築家の方法を無視したデタラメな模型。

近代建築は合理性、機能性を追求した。「住宅は住むための機械」というコルビュジエのことばもある。建築は機械を目指していた。生産性、経済性をとことん追求した。その結果、世界中どこへ行っても同じような建築が街を埋め尽くすことになってしまった。

ゲーリーは言う。

「はっきりさせておこう。今の時代、世の中で建てられているもの、設計されているものの98%はまったくのクズだ。デザインに対する感性も人間に対する敬意もない。ひどい建物、ただそれだけだ。」

ゲーリーのオフィスだ。巨大なスペースにいろんな形をしたテーブルが並び、そこに多種多様な模型が並んでいる。この写真の左右の隅のほうにパソコンを置いたスタッフの机が見える。

ゲーリーは言う

「龍安寺が持つ秩序に魅せられたのは、パルテノンよりもずっと以前のことです。そして、それが私の仕事の基礎を作ったのだと、今日にいたるまで信じています。」

オフィスビルの模型。室内までつくられている。

オフィスビル。

コンピュータを駆使して、何千回もシムレーションを重ねることで、少数の部材の組み合わせにより、自由な造型を極めて合理的に生産、配置することができるという。

構造、設備、生産のもっとも合理的な方法が発見できるという。

オフィスビル。

いままでは、人が機械に合わせて作っていたのに、ゲーリーは人間に合わせて機械を動かすと主張しているのだ。

これもオフィスビル

椅子。

ミース、コルビュジエなど近代建築の巨匠たちがステンレスや革を使って椅子の名作を残している。ゲーリーは彼らをあざ笑うように、段ボールで作っている。

モダニズムが機能性、生産性、経済性を最優先し、次第に世界中の都市をどこも同じようなビルで埋めてしまったのに対し、ゲーリーはまるで、遊びのように俺が作りたい物を作る、と言い放って、衝撃を与えている。とんでもないイレギュラーな建築を世界の各地に次々と送り出している。しかも、現在のコンピュータの力を駆使して、生産性、経済性を十分満たしているというのだ。

各種の専門家の協力のもとに、最先端の構造、設備を備えた建築としてできてゆくというのだから、驚きだ。

案内する人

 

宮武先生

(江武大学建築学科の教授、建築史専攻)

 「私が近代建築の筋道を解説します。」

 

東郷さん

(建築家、宮武先生と同級生。)

「私が建築家たちの本音を教えましょう。」

 

恵美ちゃん

(江武大学の文学部の学生。)

「私が日頃抱いている疑問を建築の専門家にぶつけて近代建築の真相に迫ります。」

 

■写真使用可。ただし出典「近代建築の楽しみ」明記のこと。