フランク・ゲーリー展を見る

21/21デザインサイト 設計:安藤忠雄
21/21デザインサイト 設計:安藤忠雄

フランク・ゲーリー展の会場、六本木21・21デザインサイトだ。

よい建築を生み出す秘訣はアイデアだ、とゲーリーは主張する。

フランク・ゲーリー、1929年生まれ、現在86歳、2月で87歳になる。現役の建築家だ。

ルイ・ヴィトン財団 2014 パリ
ルイ・ヴィトン財団 2014 パリ

会場入口でまず目を奪われるのは、ルイ・ヴィトン財団の模型だ。

モダニズムの建築家がしがみついてきた水平、垂直、直角、平面がここにはまるで見当たらない。

ビルバオのグッゲンハイム美術館(1997)が、衰退した港街をあっというまに観光地に生まれ変わらせたのは記憶にあたらしい。

グッゲンハイム美術館までは、ポストモダンのスターの一人として、消え去ろうとしていたような存在だった。しかし、あれからゲーリーの評価は一変した。

マニフェスト

まずアイディアが浮かぶ。ばかげているけど気に入る。模型をつくって嫌いになるまで見続けて、それから違う模型をつくることで、最初のばかげているアイディアを別の見方でみる。するとまた気に入る。でもその気持ちは続かない。部分的に大嫌いになって、再び違う模型をつくってみると、全然違うけど気に入る。眺めているうちに、すぐに嫌いになる。直しているうちに新らしいアイディアが浮かんで、そっちの方が気に入るけど、また嫌いになる。でもまんざらでもない。どうするか?そう、また模型をつくって、次から次へとつくる。模型を保管するだけでも膨大な費用がかかる。でもどんどん続ける。次から次へと進めるうちに、ほら見ろ、最高傑作だ。輝かしく、安上がりで、今までに見たことがないものだ。だから誰も気に入らない。(以下略)

フランク・ゲーリー自邸(1978)
フランク・ゲーリー自邸(1978)

普通の建て売り住宅をちょっと改造した程度だ。しかし、これがゲーリー建築の出発点だった。

いろんな素材で模型をつくる。

素材を変えてつくってみる。

モダニズムの約束事にまるで縛られていない。

どんどんつくる。

まだ、構造も設備もまるで考えていない。

まだまだつくる。

あらゆる素材が現れる。まるで子どもの遊びのようだ。

少しリアルな材料でつくってみる。

いままでのあらゆる建築家の方法を無視したデタラメな模型。

近代建築は合理性、機能性を追求した。「住宅は住むための機械」というコルビュジエのことばもある。建築は機械を目指していた。生産性、経済性をとことん追求した。その結果、世界中どこへ行っても同じような建築が街を埋め尽くすことになってしまった。

ゲーリーは言う。

「はっきりさせておこう。今の時代、世の中で建てられているもの、設計されているものの98%はまったくのクズだ。デザインに対する感性も人間に対する敬意もない。ひどい建物、ただそれだけだ。」

ゲーリーのオフィスだ。巨大なスペースにいろんな形をしたテーブルが並び、そこに多種多様な模型が並んでいる。この写真の左右の隅のほうにパソコンを置いたスタッフの机が見える。

ゲーリーは言う

「龍安寺が持つ秩序に魅せられたのは、パルテノンよりもずっと以前のことです。そして、それが私の仕事の基礎を作ったのだと、今日にいたるまで信じています。」

オフィスビルの模型。室内までつくられている。

オフィスビル。

コンピュータを駆使して、何千回もシムレーションを重ねることで、少数の部材の組み合わせにより、自由な造型を極めて合理的に生産、配置することができるという。

構造、設備、生産のもっとも合理的な方法が発見できるという。

オフィスビル。

いままでは、人が機械に合わせて作っていたのに、ゲーリーは人間に合わせて機械を動かすと主張しているのだ。

これもオフィスビル

椅子。

ミース、コルビュジエなど近代建築の巨匠たちがステンレスや革を使って椅子の名作を残している。ゲーリーは彼らをあざ笑うように、段ボールで作っている。

モダニズムが機能性、生産性、経済性を最優先し、次第に世界中の都市をどこも同じようなビルで埋めてしまったのに対し、ゲーリーはまるで、遊びのように俺が作りたい物を作る、と言い放って、衝撃を与えている。とんでもないイレギュラーな建築を世界の各地に次々と送り出している。しかも、現在のコンピュータの力を駆使して、生産性、経済性を十分満たしているというのだ。

各種の専門家の協力のもとに、最先端の構造、設備を備えた建築としてできてゆくというのだから、驚きだ。

案内する人

 

宮武先生

(江武大学建築学科の教授、建築史専攻)

 「私が近代建築の筋道を解説します。」

 

東郷さん

(建築家、宮武先生と同級生。)

「私が建築家たちの本音を教えましょう。」

 

恵美ちゃん

(江武大学の文学部の学生。)

「私が日頃抱いている疑問を建築の専門家にぶつけて近代建築の真相に迫ります。」

 

■写真使用可。ただし出典「近代建築の楽しみ」明記のこと。

 

■ブログ記事目次

・日本の近代建築

埼玉会館を見る

ヒアシンスハウスを見る

カップマルタンの休暇小屋(レプリカ)を見る

金沢市立玉川図書館を見る

鈴木大拙館を見る

金沢21世紀美術館を見る

宮脇檀の大邸宅

自然環境を手に入れた研究所-ROGIC

築地本願寺を見る

電通本社ビルのいま

埼玉県立博物館を見る

消えて行く近代建築の名作

世田谷区役所・区民会館を見る

お茶の水スクエア

今井兼次の「フェニックス・モザイク」

大学セミナーハウスの壮大な実験

小さな傑作「碌山館」の魅力

アテネフランセに改めてビックリ仰天

神奈川県立音楽堂を見る

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館を見る

香川県立丸亀武道館を見る

香川県文化会館を見る

香川県立体育館を見る

香川県庁舎を見る

倉敷市立美術館(旧倉敷市庁舎)を見る

前川国男の「林原美術館」を見る

所沢高層マンション火災の教訓

山口蓬春のアトリエを見る

 

さらば「カマキン」(神奈川県立近代美術館鎌倉館)

猪股邸を見に行く

林芙美子邸を見に行く

前川国男自邸を見に行く

東光園の今

究極の透明建築:日立駅

京都国立博物館・平成知新館を見る

屋根のある建築

水と遊ぶ建築

モダニズムの結晶

大江新太郎設計の「清明亭」を見る

世界平和記念聖堂で考える

広島平和記念資料館を見る

 

厳島神社を見る

杉の魅力を引き出した馬頭広重美術館

仙川安藤ストリートを行く

 

KITTE、保存建築の光と影

代官山蔦屋書店の快楽

京都駅はやっぱり面白い

 

歌舞伎座の悩ましさ

透明感きわだつ軽井沢千住博美術館

都市中心部を活性化した「アオーレ長岡」

武蔵野プレイス図書館未来型?

屋上庭園が主役の東急プラザ

 

真壁伝承館の驚き

 

・海外の近代建築

ユーゲントシュティール建築の驚き

シドニー・オペラハウスを見る

バルセロナ・パビリオンの不思議

ショッピング・モールに変身した闘牛場

カサ・ミラが楽しい

 

ガウディの栄光と悲惨

仁寺洞(インサドン)のショッピングモール「サムジキル」

 

・展覧会

「建築の日本展」を見る

フランク・ゲーリー展を見る

 

・国内の旅行

築地松の風景

雨の桂離宮を歩く

北山杉の里を見にゆく

奥の細道、山寺に登る

戸隠を歩く:水芭蕉の咲く林編

戸隠を歩く:中社・奥社編

 

・海外の旅行

バルト三国の建築ーエストニア(タリン)

バルト三国の建築ーラトビア(リガ)

バルト三国の建築ーリトアニア〈ヴィリニュス〉

ユーゲントシュティール建築の驚き

ドイツを歩く—6:ミュンヘン(常軌を逸した建築道楽)

ドイツを歩く—5:ローテンベルク(古都に残る石工の技)

ドイツを歩くー4:ハイデルベルク(哲学者が見た街)

ドイツを歩くー3:フランクフルト(超高層ビルが建つ街)

ドイツを歩く−2:ベルリン(ただいま工事中)

 

ドイツを歩く-1:ドレスデン(蘇る古都)

良洞民俗村(ヤンドンミンソクマウル)

慶州・仏国寺と瞻星台(せんせいだい)

釜山チャガルチ市場

釜山シネマセンター

 

お隣の大都市・釜山

ベトナム建築とは?

ベトナム 街の建築を見る

ハノイ、ホテル・ソフィテルメトロポール

ベトナム、フエのホテル・サイゴンモリン

 

ベトナム、ホーチミン市のホテル・マジェスティック