慶州・仏国寺と瞻星台(せんせいだい)

仏国寺の山門
仏国寺の山門

車が慶州へ入ったとたんに、風景ががらっと変わった。時代が1,000年戻ったような感じだ。歴史保存地区になっているので、当然かもしれないが、それが徹底している。いったい、慶州の人々はどこに住んでいるのだろう、というほど、近代的な建築が見えない。

まず、仏国寺から。

正面からでは分かりにくいが、じつは柱が両方とも1本だ。そのかわり太い。根元が広がり大地に根を生やしているような感じ。日本の寺院ではありえない。厳島神社の鳥居を思い出した。

仏国寺紫霞門
仏国寺紫霞門

堂々たる石段の上にそびえる紫霞門。

日本人の目から見ると石の擁壁が珍しい。面白い積み方だ。

展望台?
展望台?

門の両側に開放的な櫓が見える。遠方をのぞむかのようなデザインだ。僧侶が望もうとしたのは、西方浄土か。

紫霞門の石組み
紫霞門の石組み

石積みの石の取り合い。見れば見るほど興味が尽きない。

自然と人工のせめぎ合い。

石工が自然をねじ伏せようとしていない。自然石を積み上げた石垣の上に本来幾何学的なはずの石材が自然石の形に歩み寄っているではないか。

無理に直線を追求しない姿勢。韓国建築の至る所で目につく自由な曲線と共通の感覚。

うーん。しばし見とれてしまった。

紫霞門への階段下のアーチ
紫霞門への階段下のアーチ

左の石の壁。垂直水平の柱梁、まるで木造のようだ。アーチは石そのもの。不思議な技術の交錯が興味深い。

石が木造を模倣する例はパルテノン神殿に見られるが、こういうのを見るとつくづく建築は面白いなあ。

紫霞門の軒裏
紫霞門の軒裏

紫霞門の軒下だが、カラフルなうえに、なんともリアルな龍がおりますなあ。日本建築ではときどき象がリアルな姿で現れることがありますが、これほどリアル動物は珍しいですね。しかも龍がなんだかユーモラスだ。

天井を見上げる
天井を見上げる

内部もなかなか艶かしいですなあ。

よく見るとここにも龍がいるぞ。こっちの龍もかわいいなあ。

天井の龍
天井の龍

あっちからも、こっちからも龍が覗いている。

にぎやかな天井ですねえ。

斗きょう
斗きょう

軒先もカラフルでにぎやかだ。

石窟庵の鐘楼
石窟庵の鐘楼

石窟庵の鐘楼。鐘楼にしては賑やかなつくりですね。

瞻星台
瞻星台

天文台とされているが、果たしてほんとうはなんだったのか。用途はなぞにつつまれているが、いかにも石造文化の国、韓国らしい遺跡だ。

瞻星台上部
瞻星台上部

ここにも木造を模した石造の技術が見られるではないか。いったいこれは何を意味しているのだろうか。木造のほうがより神聖だったのではないだろうか。

中腹の開口部
中腹の開口部

下部には開口部はないので、はしごをかけてここから出入りした、と解説されているが、本当だろうか。わざわざ人の近寄れない高さに開口をつけたのは、むしろ光、つまり神を招き入れるためだったのではないだろうか。

即席考古学者の推理である。

 

案内する人

 

宮武先生

(江武大学建築学科の教授、建築史専攻)

 「私が近代建築の筋道を解説します。」

 

東郷さん

(建築家、宮武先生と同級生。)

「私が建築家たちの本音を教えましょう。」

 

恵美ちゃん

(江武大学の文学部の学生。)

「私が日頃抱いている疑問を建築の専門家にぶつけて近代建築の真相に迫ります。」

 

■写真使用可。ただし出典「近代建築の楽しみ」明記のこと。

 

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